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木の文化フォーラム 設立の経緯

拓殖大学名誉教授 藤盛啓治(『木の文化FORUM』創刊号/ 2004発行 所載)

 木の文化フォーラムの設立に関しては、日本デザイン学会家具・木工研究部会会員のうち、東京及びその近郊に在住する会員に呼びかけが行われ、2002年6月22日の設立準備会において「設立主旨」の文案が提示され、検討の結果了承された。この文書を下記に示す。

『この会は、人と木のかかわり、人を取り巻く生活環境とのかかわりを、住環境からインテリア、家具、生活器具及びライフスタイルを含め、生活文化として総合的に考察し、これからのライフスタイルの在り方、このライフスタイルを実現するためのデザインの在り方、さらに過去とのかかわりを考察して、ライフスタイルとデザインの在り方を追求して行くこととする。

 この会に参加する会員は、上記の主旨を参考にして、日常関心をもつテーマを取り上げて自説を述べ、それについて参加会員と自由に意見を取り交わすものとする。フォーラムは年4回開催、会員は毎回1名づつ順次テーマの報告者となる。このときの話題は「木の文化フォーラム」として年1回、小冊子を刊行する。』

 同年9月21日、第1回「木の文化フォーラム」を港区芝の建築会館7階にある創業サポートセンターにおいて開催し、以後上記の通り年4回(3月、6月、9月、12月の第2週の土曜日午後2時~4時)開催し、本年6月の開催で7回目を数えることになった。年1回の小冊子の発行もご覧の通りお手許に届けることが出来たし、スタートから順調に推移していることは誠に喜ばしい限りである。

 このフォーラム設立の発起人は、現在、生活文化研究所所長の鍵和田務氏で、これを補佐し、事務局も担当してくださっているのが東京造形大学教授の財満やえ子氏である。ご両人をはじめ、このフォーラムに参加している会員の多くは日本デザイン学会 家具・木工研究部会の会員である。この部会は学会の13ある研究部会の1つで1983年に発足した。その2年後の1985年5月末、学会の大きなイベントを担当した。テーマを「木と人間のかかわり」とし、新宿京王プラザホテル・エミネンスホールにおいて学術講演とシンポジウム、さらにホテル横のプラザナードを展示場として協賛展示した13団体、49企業の出品物が日常生活とのかかわりにおいてどのように位置づけられるかを一般消費者にも分りやすく展示した(注1)。この会場の設営には規模の大きさから学会とは別の組織を作り共催する方法がとられた。これが「木の文化コミッティー」で、組織の会長は鍵和田氏であり、事務局を担当されたのも財満氏であった。この時は開催までの準備期間が短く、展示会を成功させるための広報活動、パンフレット等の作成も含めて大変な労力が費やされた。この組織は大会の終了後に解散したが、この時の会員の結束が以後の部会の活動を支えてきたと云っても過言ではなく、これが「木の文化フォーラム」の活動にも引き継がれて行くものと考えている。また、年1回発行の小冊子についても、家具・木工研究部会は部会誌「家具・木工通信」(A4版、8~12頁、年4回発行)を88年より継続して発行している実績があり、この編集作業にも充分対応できると思われる。

「木の文化フォーラム」は、スタート時点においては、日本デザイン学会家具・木工研究部会会員の支援を受けているが、これは自由に参加できる別組織であり、独自の方法を模索し発展して行くものと確信している。

 

 注1:日本デザイン学会誌,デザイン学研究50号(1985)及び54号(1986)に詳しく掲載。

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